見ていただいてありがとうございます。
前職は食品検査員だった主婦、はつがカエデです。
(ダニアレルギー持ちです)
「お好み焼き粉」「たこ焼き粉」「ホットケーキミックス粉」
あなたはそんな小麦粉製品(粉もの)を開封後、常温保存していませんか?
そしてその常温保存した粉物を使って、お好み焼きやたこ焼き、ホットケーキを作ったりしていませんか?
もしかしたら「大量のダニ入り料理」を口にしてしまっているかもしれません。
ダニアレルギーを持っている人は「重篤なアレルギー症状」が起こることも…
粉ものは開封後「冷蔵庫で保存・早めに使い切る」ようにしましょう。
開封後の小麦粉製品を常温保存すると「ダニ」が増える
開封後の小麦粉製品(粉もの)を常温保存すると、ダニにとって「快適な住み家」となってしまいます。
ダニにとって「快適な住み家」は、次のような場所です。
- 温度20~30℃
- 湿度60~80℃
- エサが豊富(デンプン、アミノ酸、うまみ成分)
開封後に常温保存されている粉ものは、ダニにとってまさに「食べ物がいっぱいある最高の住み家」
なのでダニが入り込むと、爆発的に繁殖・増殖してしまいます。
また、ダニの大きさは0.3~0.5㎜と小さいため、わずかなすき間さえあれば侵入可能。
開封部分を折り曲げて輪ゴムやクリップで閉じても侵入してきます。
ビニール袋や密閉容器内に保存したものからも、ダニが見つかっているそうです。
なので開封後はどんな容器に入れてもダニは侵入しますし、常温保存の場合はその中で増殖してしまいます。
小麦粉製品の中で増えるダニの種類は?写真は?
小麦粉製品内で増えるダニは「チリダニ・コナダニ」などです。
「ダニに噛まれた」でおなじみのツメダニ・イエダニとは違います。
ダニの写真を見たい方はダニを知る|害虫を知る|アース害虫駆除なんでも事典を参考にしてください。
(虫が苦手な方は閲覧注意です)
お好み焼き粉など「ミックス粉」はダニの大好物
小麦粉よりお好み焼き粉・たこ焼き粉・パンケーキミックスなど、いわゆる「ミックス粉」の方がダニは増えやすいです。
なぜなら、ミックス粉にはデンプンの他に「たんぱく質(アミノ酸)、うまみ成分」などが含まれているから。
なので小麦粉(デンプン)のみよりも、たんぱく質やうまみ成分が含まれたミックス粉の方がダニが繁殖しやすいのです。
ダニは粉ものだけでなく、次の食品中にも増える可能性があります。
ゴマ・砂糖・乾燥果実・味噌・削り節・煮干・チーズ・チョコレート(ココア)
小麦粉中にいる「大量のダニ」を食べたらどうなる?
ダニアレルギーを持っている人が、ダニがたくさんいる小麦粉を食べた場合「アナフィラキシーショック」を起こす恐れがあります。
アナフィラキシーショックは「短時間で全身に発症する、重いアレルギー反応」です。
「大量のダニを食べたことによるアナフィラキシーショック」の具体例を2つ、のせておきます。
28歳の女性は、開封後常温保管したお好み焼き粉で、もんじゃ焼きを調理しました。調理中に少しずつもんじゃ焼きを食べていくと、喘息の様な症状に続いて15分後には嘔吐し、30分後には腹痛になったため緊急搬送されました。病院到着後、意識混濁があり顔面が腫れ全身に紅斑が見られました。点滴治療を受け症状は2時間後に改善しました。お好み焼き粉は数ヶ月前に購入したものでした。
農研機構・食品研究部門:食品害虫サイト(コラム32:ダニを誤食して起こるアレルギー症状) より引用
今日の晩御飯はお好み焼き!
(中略)
しかし、二女も同じく食べ終わって10分程で息苦しくなった。
さらに、女性の目は真っ赤に充血。
異変に気付いた夫は2人を病院へ連れて行った。
(中略)
病院に行った頃には女性と娘の全身に蕁麻疹が発生し、
強いアレルギー反応により気管支が狭まり呼吸困難の状態に!
一家を襲ったキケンな粉の正体|ザ!世界仰天ニュース|日本テレビ より引用
ダニが大量にいる粉製品をダニアレルギーの人が食べると、5~60分以内に次のような「アナフィラキシー症状」が現れることがあります。
- 全身のじんましん
- 顔面のむくみ
- 喘息(ぜんそく、呼吸が苦しくなる)
- 目の充血
- 症状が重くなると呼吸困難、血圧の低下、意識障害
症状によっては救急搬送が必要な場合もあります。
粉ものを食べた後に「様子が変だな」と思ったら、医療機関に連絡しましょう。
(連絡が必要かどうかは東京都福祉保健局「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」を参考にしてください)
海外ではパンケーキを食べた後に発症することが多いので、この症状を「パンケーキ症候群」とも呼ぶそうです。
開封後常温保存した小麦粉製品、どれくらい経つと危ない?
開封後すぐの小麦粉製品には、アレルギーを引き起こすほどのダニはいません。
(後でお話ししますが、ゼロではありません)
小麦粉1gの中にダニが350~500匹以上いると、アナフィラキシーなど強いアレルギー反応が出てくる可能性があります。
タイで行われたダニの研究では、粉もの中のダニは開封後6週間後に大きく増え、8週間後には「その環境で生きられる最大の数」まで達したそうです。
また、日本で「ダニが原因でアナフィラキシーショックを起こした人」は、こんな粉製品を食べていました。
- 3ヶ月以上前に開封し、常温で保管されていたお好み焼き粉
- 開封後、密封せずに常温で6ヶ月以上経過したお好み焼き粉
- お好み焼き粉の賞味期限が1年半も過ぎていた
- お好み焼き粉を6ヶ月以上前に購入し、複数回使用して密封せず室温で保存
つまり「開封後数か月~数年も常温保存していた粉製品」を食べて、アナフィラキシーショックを起こしています。
このことから「開封後、1ヶ月以上常温保存した小麦粉製品」は危険なので、食べないほうがいいでしょう。
賞味期限が5年切れているお好み焼き粉には「約77万匹」のダニが確認されたこともあるようです。
賞味期限が切れた粉ものは(もったいないかもしれませんが)捨てましょう。
未開封の小麦粉製品にも、ダニがいる可能性はある
実は未開封の小麦粉製品中にもダニがいる可能性はあります。
(日本はダニが増えやすい環境であり、小麦は自然由来の物なので、完全にゼロするのは難しいようです)
ただ未開封の小麦粉製品に「アレルギー症状が出てくるほどのダニ」はいません。
このような日本の研究結果が報告されています。
未開封の小麦粉製品176製品
- ホットケーキミックス97製品
- お好み焼きミックス55製品
- 蒸しパン13製品
- その他11製品
の内、3製品からダニが検出された。
しかし、どれも小麦粉10g中に63匹・3匹・3匹のみだった。
先ほど「小麦粉1gの中にダニが350~500匹以上」いると、アレルギー反応が出てくる可能性があるとお話ししました。
つまり未開封の小麦粉製品には「アレルギーを心配するほどダニはいない」と考えてよさそうです。
ですが、未開封でもダニがいる可能性は「ゼロ」ではありません。
粉物を買いだめして、長期的に常温保存するのはやめましょう。
ダニが増えた小麦粉製品は、加熱しても食べちゃダメ
「怪しい物でも、しっかり火を通せば安心して食べられる」
…と思う方もいるかもしれません。
残念ながら、ダニが増えた小麦粉製品は加熱しても食べちゃダメです。
なぜならダニアレルゲンは熱に強く、100℃で1時間以上加熱してもアレルゲンは消失しません。
(アレルゲン…アレルギーの原因となる物質、抗原ともいう)
ドーナツや天ぷらなど、高温で揚げて作った食品でも発症した例があります。
なのでダニが増えてしまった粉ものは「もう食べられない」と考えましょう。
小麦粉に増えたダニは見える? 「ダニがいるかどうか」見分け方は?
小麦粉を黒い紙や皿の上に薄くまぶすと、ダニを肉眼で確認することもできるようです。
ただ、肉眼で確認するのはとても難しいそうです。
なので「ダニがいるかもしれない」と不安になるような小麦粉製品は、食べずに捨てましょう。
Twitterで「粉製品中のダニの様子」の動画が投稿されています。
投稿を見たい方はリンク先をご覧ください。
https://twitter.com/katz0172/status/1257646037839183872?s=20
小麦粉製品のダニ対策3つ
小麦粉製品のダニ対策は次の3つです。
- 小分けパックを買う(毎回使い切る)
- 開封後は冷蔵庫で保存し、早く使い切る
- 食品用のダニよけ製品(ダニクリン)を使う
ダニは5℃以下の環境になると活動が停止し、増殖もできません。
なので粉ものが残ってしまった場合は「冷蔵庫に保存して早めに使い切る」ようにしましょう。
(ー20℃にさらされ続ければ、ダニは完全に死滅します。
ですが家庭用冷凍庫は「-18℃前後」なので、家庭でダニを完全死滅させるのは難しいです)
冷蔵庫保存以外では食品をダニから守ってくれる「ダニクリン」がおすすめです。
殺虫剤成分は不使用なので、食品にも安心して使えます。
▼ダニクリン 食品の下に敷くシートタイプ
▼ダニクリン 食品を袋に入れて保管するタイプ
まとめ
- 開封後の粉ものを常温保存すると「ダニ」が増える
- 粉中で増えるダニの種類はチリダニ・コナダニ
- お好み焼き粉など「ミックス粉」はダニの大好物
- ダニアレルギーを持っている人が、大量のダニ入り小麦粉を食べた場合「アナフィラキシーショック」を起こす恐れがある
- 小麦粉1gの中にダニが350~500匹以上いると、強いアレルギー反応が出てくる可能性がある
- 「開封後、1ヶ月以上常温保存した小麦粉製品」は危険なので、食べないほうがいい
- 未開封の小麦粉製品に「アレルギー症状が出てくるほどのダニ」はいない
- ダニが増えた小麦粉製品は、加熱しても食べちゃダメ
ダニは「開封後に常温保存されている粉もの」に侵入し、住み家にしてしまいます。
日本の環境はダニが住みやすい環境なので、粉ものを常温保存するのは危険です。
なので小麦粉製品のダニ対策をしっかり取りましょう。
料理を食べる側は「料理内に大量のダニが入っていても」見ただけではわかりません。
なので知らないうちに大量のダニを口にしてしまいます。
つまり料理を作る人が「粉もののダニ対策」をする責任があります。
大切な人の健康を守るためにも、開封後の粉製品はしっかり「ダニ対策」してくださいね。
▼カレーを常温保存すると食中毒の原因に!
▼実は私も「アナフィラキシーショック」のような症状を起こしたことがあります…
https://www.kaede.blog/pan-allergy/この記事を作成にするにあたって、以下の情報を参考にしました。
一家を襲ったキケンな粉の正体|ザ!世界仰天ニュース|日本テレビ
小麦粉アナフィラキシー – 札幌市中央区の皮膚科はすみかわ皮膚科アレルギークリニック
未開封のホットケーキミックス、ダニはどれくらい混入している?(堀向健太) – 個人 – Yahoo!ニュース
ホットケーキミックスの買いだめにご用心!アレルギー科医が心配する『パンケーキ症候群』とは(堀向健太) – 個人 – Yahoo!ニュース
開封後の粉製品に繁殖したダニによる即時型アレルギーがあると聞きました。本当ですか?【食品安全FAQ】 東京都福祉保健局
病気について|福井市にある石黒耳鼻咽喉科医院ではアレルギー性鼻炎、蓄膿症、花粉症などの治療に漢方薬を取り入れた診療を行っています。
農研機構・食品研究部門:食品害虫サイト(コラム32:ダニを誤食して起こるアレルギー症状)
原 敦子 他,お好み焼き粉に混入したダニが原因と考えられたアナフィラキシーの一例,日本アレルギー学会,2006
鈴木慎太郎,コナヒョウヒダニが混入したお好み焼きを経口摂取したことによるPancake Syndromeの一例,昭和学士会誌,2018