3歳の娘をもつ、30代主婦のはつがカエデです。
大学では生物(生命科学)を専攻し、食品検査員として働いていました。
妊娠中は食事・おやつの中の「脂質」が気になりますよね。
脂質にヒヤヒヤしながら食事をとっているお母さんも多いのではないでしょうか?
でも「妊婦の1日に必要な脂質量」は、ネットのどこにも載っていないんですよね。
どの程度まで脂質を取っていいのか、量がわからないんです。
ということで「厚生労働省のデータ」をもとに、次の内容を計算してまとめてみました。
- 妊婦の一日に必要な脂質量
- 日本の妊婦は、どのくらい脂質を取っているのか
- 【知りたい方向け】「妊婦の一日に必要な脂質量」の計算方法
妊婦の一日に必要な脂質量
「1日に必要な脂質量」の計算方法は、記事の後半で説明しています。
妊婦の1日に必要な脂質量 (g) は次の通りです。
- 妊娠初期:16週未満
- 妊娠中期:16-28週未満
- 妊娠後期:28週以降
▼18-29歳の妊婦さんの、1日に必要な脂質量 (g)
18-29歳 | ほぼ座っている | そこそこ動く | 活発に動く |
---|---|---|---|
初期 | 40 | 46.7 | 53.3 |
中期 | 44.4 | 51.1 | 57.8 |
後期 | 50 | 56.7 | 63.3 |
▼30-49歳の妊婦さんの、1日に必要な脂質量 (g)
30-49歳 | ほぼ座っている | そこそこ動く | 活発に動く |
---|---|---|---|
初期 | 38.9 | 45.6 | 52.2 |
中期 | 43.3 | 50 | 56.7 |
後期 | 48.9 | 55.6 | 62.2 |
日本の妊婦は、どのくらい脂質を摂取しているのか
一日に必要な脂質量はわかりました。
では次に、日本の妊婦さんは「平均でどのくらい脂質を取っているのか」調べてみましょう。
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査報告」によると、妊婦の脂質摂取量は平均60.1gでした。
「ほぼ座って生活している妊婦さん」の、1日に必要な脂質量はこのような値でしたね。
▼18-29歳の妊婦さん
- (初期)40g
- (中期)44.4g
- (後期)50g
▼30-49歳の妊婦さん
- (初期)38.9g
- (中期)43.3g
- (後期)48.9g
つまり日本の妊婦さんは、1日に必要な脂質量以上摂取してしまっています。
(今回は厳しめに、1日に必要な脂質量を計算しました。
妊婦の脂質の目標量上限で計算した場合、摂取量60.1gはギリギリセーフと言ったくらいです)
♦ 目標量上限で計算した「一日に必要な脂質量」は、こちらをご覧ください脂質を取りすぎると肥満になり、「妊娠高血圧症」の原因になります。
私の母も36歳の時に妊娠高血圧症になり入院 ⇒ 早めに出産しました。
「妊娠高血圧症」は誰でも起こりうる病気です。
妊娠高血圧症になると、おなかの赤ちゃんがうまく育たなかったり、早産のリスクが高まります。
なので妊娠中は「脂っぽい食事・おやつ」は控えるようにしましょう。
▼妊娠中のレシピ本です。私もこの本を読みながら食事を作っていました。
レシピ数も多く、妊娠中に必要な栄養素の話や「肥満を防ぐ調理テクニック」も載っています。
▼妊娠中の「糖質」については、こちらをご覧ください
【知りたい方向け】1日に必要な脂質量を求める計算方法
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、妊婦の場合、脂質は「1日のエネルギーの20-30%が目標量」と書かれています。
これだけでは「妊婦の1日に必要な脂質量」がわかりません。
「妊婦の1日に必要な脂質量」 を求めるには、これだけの計算過程が必要です。
順番に求めていきましょう。
① 妊婦の「1日に必要なエネルギー」を求める
妊娠していない女性の、1日に必要なエネルギー量(kcal)はこちらです。
非妊娠時の、1日に必要なエネルギー量(kcal)
ほぼ座っている | そこそこ動く | 活発に動く | |
---|---|---|---|
18-29歳 | 1750 | 2050 | 2350 |
30-49歳 | 1700 | 2000 | 2300 |
妊婦さんの場合、次のエネルギー量が追加されます。
妊婦のエネルギー付加量
妊娠周期 | 付加量(kcal) |
---|---|
初期(16週未満) | +50 |
中期(16-28週未満) | +250 |
後期(28週以降) | +500 |
つまり、妊婦の1日に必要なエネルギー量はこうなります。
妊婦の1日に必要なエネルギー量 (kcal)
▼18-29歳の妊婦さん
18-29歳 | ほぼ座っている | そこそこ動く | 活発に動く |
---|---|---|---|
初期 | 1800 | 2100 | 2400 |
中期 | 2000 | 2300 | 2600 |
後期 | 2250 | 2550 | 2850 |
▼30-49歳の妊婦さん
30-49歳 | ほぼ座っている | そこそこ動く | 活発に動く |
---|---|---|---|
初期 | 1750 | 2050 | 2350 |
中期 | 1950 | 2250 | 2550 |
後期 | 2200 | 2500 | 2800 |
②エネルギーから脂質のエネルギーを計算する
エネルギーは、炭水化物のエネルギー + たんぱく質のエネルギー + 脂質のエネルギーが合わさった値の事を言います。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、脂質のエネルギーはエネルギーの20-30%が目標量と書かれています。
ちなみに、たんぱく質はエネルギーに対して13-20%、炭水化物は50-60%です。
今回は厳しめに「脂質エネルギーの目標量:20%」と、考えることにします。
妊婦の1日に必要なエネルギー ⇒ 妊婦の1日に必要な脂質エネルギー量へ換算します。
妊婦の1日に必要な脂質エネルギー (kcal)
▼18-29歳の妊婦さん
18-29歳 | ほぼ座っている | そこそこ動く | 活発に動く |
---|---|---|---|
初期 | 900 | 420 | 480 |
中期 | 400 | 460 | 520 |
後期 | 450 | 510 | 570 |
▼30-49歳の妊婦さん
30-49歳 | ほぼ座っている | そこそこ動く | 活発に動く |
---|---|---|---|
初期 | 350 | 410 | 470 |
中期 | 390 | 450 | 510 |
後期 | 440 | 500 | 560 |
これで妊婦の1日に必要な脂質エネルギー(kcal)はわかりました。
③脂質のエネルギーから、脂質量を計算する
でも脂質はエネルギー(kcal)ではなく、量(g)で表したいですよね。
(食品成分表では、脂質はgで表記されていることが多いです)
▼Calbee「フルグラ」の食品成分表
脂質のエネルギーは、1gあたり9kcalです。
なので「脂質のエネルギー量(kcal)」がわかれば、脂質量(g)へ換算できそうです。
脂質のエネルギー(kcal)から、脂質量(g)を求める式は、次のようになります。
脂質量(g) = 脂質エネルギー(kcal) ÷ 脂質1g当たりのエネルギー量(g/kcal)
つまり、このように言い換えることもできます。
1日に必要な脂質量(g)
= 1日に必要な脂質エネルギー(kcal) ÷ 脂質1g当たりのエネルギー量(g/kcal)
(脂質1g当たりのエネルギー量(g/kcal) = 9)
妊婦の1日に必要な脂質エネルギー量 (kcal) から、 1日に必要な脂質量(g) へ換算するとこうなります。
妊婦の1日に必要な脂質量 (g)
▼18-29歳の妊婦さん
18-29歳 | ほぼ座っている | そこそこ動く | 活発に動く |
---|---|---|---|
初期 | 40 | 46.7 | 53.3 |
中期 | 44.4 | 51.1 | 57.8 |
後期 | 50 | 56.7 | 63.3 |
▼30-49歳の妊婦さん
30-49歳 | ほぼ座っている | そこそこ動く | 活発に動く |
---|---|---|---|
初期 | 38.9 | 45.6 | 52.2 |
中期 | 43.3 | 50 | 56.7 |
後期 | 48.9 | 55.6 | 62.2 |
今回は厳しめに脂質エネルギーの目標量:20%で計算しました。
脂質エネルギーの目標量上限:30%で計算するとこうなります。
▼18-29歳の妊婦さん
18-29歳 | ほぼ座っている | そこそこ動く | 活発に動く |
---|---|---|---|
初期 | 60 | 70 | 80 |
中期 | 66.7 | 76.7 | 86.7 |
後期 | 75 | 85 | 95 |
▼30-49歳の妊婦さん
30-49歳 | ほぼ座っている | そこそこ動く | 活発に動く |
---|---|---|---|
初期 | 58.3 | 68.3 | 78.3 |
中期 | 65 | 75 | 85 |
後期 | 73.3 | 83.3 | 93 |
日本の妊婦の、脂質平均摂取量は平均60.1gでした。
脂質目標量上限で計算すると、ギリギリセーフと言ったところでしょうか。
妊娠中は「脂質」に気を付けた食事を心がけていきたいですね。
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